第43回 消化器・総合外科セミナーが開催されました
 

消化器・総合外科では、基礎と臨床の橋渡しとなる研究でご活躍の先生に講師を
お願いしてセミナーを行っています。
今回は、九州大学がん分子病態学講座の飯森真人先生をお招きし、
有糸分裂期における微小管制御因子の生理的機能の解析に関してご講演いただきました。


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演題: 微小管先端集積因子EB1分裂酵母ホモログMal3の有糸分裂期における生理的機能の解析
演者: 飯森 真人 先生(九州大学がん分子病態学講座)
座長 前原喜彦 先生(九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科)
場所: 南8階病棟カンファレンスルーム

[発表要旨]
微小管はアクチンや中間径フィラメントなどと同様に、すべての真核生物に保存された細胞骨格因子である。微小管は細胞周期間期では細胞小器官の配置決定や細胞極性さらには細胞移動などにも深く関わっており、有糸分裂期においては分裂装置として働く紡錘体の主要構成成分として姉妹染色分体の分配に重要な役割を果たしている。これら微小管の機能は微小管そのものが持つ極性のためばかりではなく、微小管と相互作用する様々な微小管結合タンパク質によるものである。近年、重合・脱重合をダイナミックに繰り返す微小管先端領域において、微小管伸長端に特異的に局在するタンパク質群(plus-end tracking proteins:+TIPs)の存在が明らか となった。有糸分裂期において、+TIPsの多くは紡錘糸が動原体へ結合する以前に動原体に結合することが知られている。また、微小管の不安定化因子も動原体に局在しており、+TIPsが協調的に機能することで微小管ダイナミクスを制御する と考えられている。+TIPsのなかでもとりわけEB1は短縮している微小管先端には集積せず伸長している微小管先端にのみ特異的に集積している。微小管先端が動原体に達すると一過的に動原体に集積する。このことより、動原体に結合する+TIPs群がEB1の局在する微小管伸長端を捕捉することが紡錘糸と動原体の結合に重要であると考えられる。しかしながら、EB1がどのようなメカニズムで特徴的な微小管伸長端局在を 示すのか、またその生理的な役割については依然としてその詳細は明らかではない。我々は分裂酵母をモデル系として、EB1の分裂酵母ホモログであるMal3の遺伝子に点突然変異を導入し、温度感受性を示すmal3-1変異株を取得した。mal3-1変異株は有糸分裂期の進行に異常を示しており、本セミナーではこの変異株を用いた詳細な解析により得られた知見を中心に、Mal3による微小管ダイナミクス制御機構について議論したい。


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