医学部6年生 Cleveland Clinic 臨床実習を終えて No.4
 
Cleveland Clinicにおけるクリニカルクラークシップを終えて
医学科6年 宮城ちひろ
 
 私たちは2012年6月4日より同年6月29日までのおよそ1ヶ月間、第2外科クリニカルクラークシップの一環としてアメリカはオハイオ州にあるCleveland Clinicという病院で実習させていただきました。Cleveland Clinicはアメリカ国内有数の評価を受ける病院です。現地では九州大学の先輩にあたる第2外科の橋元先生がAttendingとして勤務されていて、私たち医学生がアメリカの外科医療を直に体験できる場を提供してくださいました。

 英語での実習は若干の不自由さはありましたが、チームの皆さんや患者さんに快く受け入れていただき、積極的にいろいろなお話ができました。橋元先生をはじめとする日本人の先生方の助けも借りつつ、非常に有意義な実習を行うことができたと思います。

 Cleveland Clinicでは、月に平均して10例ほどの肝移植が行われており、私たちは主にその肝移植手術やドナー手術の見学をしました。生体肝移植が主流の日本とは違い、アメリカではそのほとんどが脳死移植(時に心停止後の移植)です。日本でも脳死移植が増えつつあるとは言っても、1年間に行われる脳死肝移植の数は全国でも30〜40件で、Cleveland Clinicの1施設だけの年間脳死肝移植数よりもかなり少ない現状です。制度的なもの、設備的なもの、宗教的・精神的なもの、国民性など様々な問題が日本の脳死移植にはあるのでしょうが、今回こうしてたくさんの脳死移植を見学してみて、やはり健康な人間にメスを入れ、しかも難易度の高い生体肝移植よりも、脳死移植をどんどん進めていった方が良いのではないかと思いました。

 移植手術以外にも、外来や病棟業務、回診、カンファレンスなどアメリカの医師の仕事のほとんどを見学することができました。医師と看護師以外にもたくさんの職種があり、それぞれが対等に責任を持って且つ高度に効率化されている現場は、医師が非常に働きやすそうな印象を受けました。患者さん自身も自分の病気についての医学的知識を持って積極的に治療に参加していました。日本とアメリカ、両国の医療の違いを通じて各々の良い面と悪い面が良く見えてきた1ヶ月でした。

 最後になりましたが、今回こうして貴重な機会を与えてくださった前原教授、橋元先生をはじめとする 第2外科の皆様方、関係者の皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


クリーブランド実習を終えて
九州大学医学部6年 藤本侑希子
 
 2012年6月6日から27日までの約3週間、アメリカはオハイオ州のクリーブランド・クリニックで実習をさせていただきましたのでご報告いたします。今回の実習は第2外科からクリーブランド・クリニックにfellowとして留学し、現在staffとしてご活躍中の橋元宏治先生のもとで肝移植チームを見学するというものでした。

 手術・外来を見学し、回診に参加して、と日本で行なっている病院実習と大きくは同じようなものでしたが、現地の免許を何も持たない我々は当然ながらPatient no touchが大原則とされており、とても歯がゆい思いをしました。そんな中、橋元先生が回診でのプレゼンテーションの機会を与えてくださったことは非常にありがたかったです。電子カルテの記録をたぐり、わからない略語を調べ、わからない病気を調べ、回診の準備をすることで少しだけ現地のresidentの気分を味わうことができました。また、後半の2週間ではDCDドナー1件、DBDドナー1件の臓器摘出に同行させていただき、手洗いをして肝臓・腎臓・脾臓の摘出、皮膚の縫合などを体験することができました。

 ここからは私が感じた日本とアメリカの違いについて述べたいと思います。とはいえ、私の日本≒九州大学、アメリカ≒クリーブランド・クリニックとなりますのでご了承ください。病院に入ってまず気づいたことは、人種が多種多様であることです。クリニックでは患者さんも医療者も中東・アジア・ヨーロッパ・中南米など世界各国からやってきます。それぞれが思い思いの英語を話し、1人の患者について考えたり手術をしたりする様子は、日本の病院では想像しがたい光景でした。

 2つ目の違いは、病院と患者の関わり方です。日本では患者は手術の数日前に入院し、術後も1週間〜1か月程度入院しますが、クリニックでは手術の半日前に入院し、(夜中のこともあるようです)移植ですら早ければ4,5日で退院してしまいます。その後、遠くから来ている人は近くに部屋を借りて1か月ほど外来に通います。その間、必要があればHome care nurseが彼らの家を毎日訪問してガーゼ交換などを行います。日本と比較して病院にかかると非常にお金がかかるのでこのような仕組みが充実しているそうです。これは日本の医療費の問題解決のヒントのひとつとなるかもしれません。

 3つ目の違いは、痛みをとることを重視しているということでした。日本でももちろん痛みをとろうとしますが、クリニックではそれがより重視されているように感じました。例えば回診中は何度も痛くないか?痛み止めは足りているか?と聞きますし、電子カルテ端末にも「Did you reassess the pain?」と書いてありますし、カルテのコメントのトップにもPain well controlledの文字が並んでいました。痛み止めの種類も、WHOの除痛ラダーにしたがって、非オピオイド系が無効であればオキシコドンやモルヒネも次々と使っていて驚きました。ただ、その副作用として便秘などが続いている方もいたので、メリットばかりではないようです。

 4つ目は職種がたくさんあることです。例えばphysician assistant、nurse practitionerなど日本では聞きなれない職種があり、日本では医師の仕事とされることの多くを彼らがおこなっていて、外科医は手術をする以外では、多職種から出る患者に関する訴えをまとめるsupervisorとしての役割が大きいようでした。social worker、financial coordinator、pharmacistなども病棟で回診やカンファレンスに参加し対等に意見を述べていたことも印象的でした。

 5つ目に、患者が自分の病気についてよく知っているということです。たとえば末期肝不全の評価に用いられるMELDスコアというものがありますが、外来・入院患者の多くが自分のMELDスコアを把握しており、非常に驚きました。それだけでなく、自分の病気や治療薬、手術について多くの情報を持っており、医師と対等に話をしていました。このようにストレートに議論することができれば、少なくとも患者の満足度はあがるのではないかと思います。

 まだまだここに書ききれない多くのことを感じましたが、これらの全てが自分の医師としての人生にプラスになることは間違いありません。最後になりましたが、このような機会を与えてくださった前原教授はじめ第2外科の先生方、現地で我々を指導して下さった橋元先生はじめクリーブランド・クリニックの皆様に深く感謝いたします。本当にありがとうございました。

 
 
◎到着、実習スタート
Cleveland Clinicに到着しました。
どんなことを学べるか期待で胸がいっぱいです。
英語でのコミュニケーションは不安ですが頑張ってたくさんの事を吸収したいと思います。


◎回診中のプレゼン
回診担当のスタッフの先生やレジデントの先生のご協力により患者さんのプレゼンをさせていただきました。プレゼンはプランをもっとしっかり説明するように、とのご指導を頂きました。
橋元先生にも沢山のアドバイスを頂きました。


◎移植手術見学
3週目、ついに移植手術の見学をさせて頂きました。
手術には飛行機に乗って向います。
移植手術はダイナミックであり、スピーディー。スタッフのコミュニケーションもとても円滑で ただただ見ていることしかできませんでしたが、貴重な体験をさせて頂きました。


大変貴重な体験をさせて頂きました。
この経験を糧に、日本でも頑張りたいと思います。
本当にありがとうございました。