医学部6年生 Cleveland Clinic 臨床実習を終えて No.3
 
クリーブランド・クリニック実習を終えて
1MD07031R 金光 陽子
 
 5月7日〜5月31日の間、私はアメリカのオハイオ州にあるクリーブランドにて海外実習をさせていただきました。クリーブランドはかつてエリー湖の豊富な水を利用して製鉄業が栄えた街です。現在は街の中心はさびれてしまった印象ではありますが、この街にあるクリーブランドクリニックは全米4位の評判を誇る大病院で、私はこのクリニックの肝臓移植外科チームにて約三週間勉強させていただきました。脳死移植の盛んな米国のこのクリニックでは肝臓移植の症例数は年間150例にも及び、レシピエントの内4-5%は外国人とのことでした。


 まず、実習内容について簡単に説明したいと思います。私たちは、アメリカの医師免許を持っていないので、”observer”という形で基本的に医療行為の見学のみ許されている形でした。朝6:00からのResidentの病棟回診に始まり、カンファレンス、Fellow, Attendingの回診への参加、肝臓移植や他の肝胆膵外科疾患のオペ見学、外来見学が主な活動でした。最初の内はネイティブの話す早口の医療英語に苦労しましたが、質問すると丁寧に答えてくれる方ばかりでしたし、私達自身が「主張しないと生き残れない国」との前評判を恐れて積極的にチームに参加していこうという姿勢でいたため、日本での病院実習以上に学ぶことの多い3週間を送ることができたように思います。

 オペ見学の中で最もexcitingだったのは、手洗いが許された脳死ドナーのオペでした。夜中の23:30に病院のロビーに集合し、パトカーで空港へ移動、そしてセスナ機に乗り換えて夜中のフライトです。ドナーの待つ病院へ到着したのは午前2:00くらいでした。オペ室に入るとすでにドナーの身体は切り開かれ、全ての臓器は露わになっている、しかし心臓は依然として力強く脈打ち、両肺は人工呼吸器により縮んだり膨らんだりを繰り返している、という状況でした。その心臓に目の前でメスが入り、血が吹き出し、瞬時に肺が摘出され、続いて肝臓も摘出されていく様子を目にするのは何とも言えない感覚で、しばし呆然としてしまいました。

 その後グラフトと共に帰路につき、病院到着時刻は朝の6:00。それからレシピエントのオペが開始されました。レシピエントの末期肝硬変に陥った肝臓がドナーの健全な肝臓に置換され、再灌流して血色を取り戻していく過程にも目を奪われましたが、術後一週間も経つと術前に寝たきりだったレシピエントがリハビリのために病棟の中を歩き回る様子を目にすることができたのは大変感慨深い出来事で、移植医療のやり甲斐とその有用性を実体感する経験となりました。

 今回、私は「世界の最先端と言われる米国の医療を見てみたい!」というただそれだけの理由でこの海外実習プログラムへの参加を希望しましたが、米国の医療を疑似体験できただけでなく、異国の土地でキャリアを積みご活躍される日本人の先生方の姿を目にできたことは大変勇気づけられる経験であり、今後の自分のキャリアパスを考える上でも大いに意義深いものであったように思います。また、身一つで飛び込んだ米国の医療現場で自分の医学知識が全く使い物にならないことを痛感し、帰国後の勉強意欲が湧いたことも、今回の実習に参加したことの大きな収穫であったと感じています。

 最後になりましたが、このように学生の間に米国の医療に触れるという大変貴重な機会を与えて下さった第二外科の先生方、そして現地でお世話になった、橋元先生を始めとするクリーブランド・クリニックの肝臓移植チームの皆様に心より御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。




◎Where is Cleveland??
クリーブランド(Cleveland)は、アメリカ合衆国オハイオ州北東部に位置する都市です。
人口は396,815人(2010年国勢調査)で、全米で第45位。
ニューヨーク、シカゴ、アトランタ、デトロイトとトロントの中心に位置しています。
アメリカ中西部、東海岸都市ならびにカナダへのアクセスがしやすく、交通の便が良いです。


◎Here is Cleveland??
緑に囲まれたCleveland Clinic
全米第4位の評判を誇る、世界的にも 有名な大病院です。


◎Rounds & Conferences
患者の情報を共有し、在院日数を短縮するよう医師一丸となって務めています。
現地の先生方が丁寧にわかりやすく説明をして下さいました。


◎DDLT
 
最先端の医療技術が駆使されたオペ見学は スケールも大きく、圧巻の一言! 食い入るように見入ってしまいました。




ダイナミックで雄大なアメリカの地で最先端の医療を思う存分学ぶことができました。
ここでの経験を、日本で活かして行きたいです。
貴重な体験をさせて頂いて本当にありがとうございました。