DNA メチル化解析による高齢者肺がんの発生・進展のメカニズム解明
 
【はじめに】
 厚生労働省の人口動態統計によると平成18年度の日本における肺がん死亡者数は63, 234名を数え、特に男性は悪性新生物について死亡数を部位別にみると、平成5年に胃がんを上回って以来第一位です。現在、高齢者社会を迎え、今後ますます増加すると予想される高齢者肺がんに対する治療戦略が望まれています。後天的 DNA 修飾による遺伝発現制御のメカニズムの一つであるメチル化は CpG ジヌクレオチドのグアニンの5'側に位置するシトシンにのみ起こる現象で、タンパク発現の調節に不可欠な機能です。がん細胞では、ゲノム全体が低メチル化され、かつがん抑制遺伝子のプロモーター領域に存在する CpG アイランドと呼ばれる CpG ジヌクレオチドの豊富な部位にメチル化が起こることにより、タンパク発現が抑制されていることが知られています。従来から、加齢は DNA メチル化変化の主な原因とされてきましたが、高齢者に特異的な後天的 DNA 修飾による遺伝発現制御の異常や変化の蓄積に関する具体的な遺伝子の同定は重要な研究領域です。



【対 象】
 九州大学病院消化器・総合外科において、2007年4月から2009年5月までに原発性肺がんで手術を行った人を対象にしています。



【研究内容】
 手術の際に採取した肺の標本を詳しく調べ、若年者肺がんと比較することにより、高齢者肺がんに特異的な後天的DNA修飾による遺伝発現制御の変化を確立するものです。



【患者さんの個人情報の管理について】
 本研究では個人情報漏洩を防ぐため、個人を特定できる情報を削除し、データの数字化、データファイルの暗号化などの厳格な対策を取っています。本研究の実施過程及びその結果の公表(学会や論文等)の際には、患者さんを特定できる情報は一切含まれません。
 上記対象に該当する方で、当研究に参加することを希望されない場合は、お手数ですが下記連絡先にご連絡をお願いいたします。



【研究予定期間】
 研究を行う期間は承認日より2012年3月31日



【医学上の貢献】
 若年者肺がんとは違う高齢者肺がんに特異的な後天的 DNA 修飾による遺伝発現制御の変化を確立できた場合、それぞれの特性に見合った治療を行うことができ、治療の効果を上げることが期待できます。そのため、この研究でその違いがあるかどうかを調べることは大変有益で、医学上の貢献が十分にあると考えます。



【研究機関・組織】
九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)
教授 前原 喜彦
准教授 調 憲



【連絡先】
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
TEL 092-642-5466
担当 丸山 理一郎