| 今年度から九州大学第二外科でも海外留学プログラムが取り入れられ、自分は2011年6月6日から6月29日までの3週間ほどアメリカのクリーブランドクリニックへ留学させていただきました。クリーブランドクリニックでは自分たちの先輩にあたる橋元先生がアメリカの医師免許を取得して一般外科・移植チームのAttendingとして勤務されていて、滞在中は橋元先生が色々と面倒を見てくださいました。また、外科の多くの医師、看護師の方々が満足に英会話のできない自分たちを快く迎えてくれたおかげで、毎日充実した見学実習を行うことができました。ぎこちない英語でも学びたいという意志を持って臨めば、海外でもしっかり学ぶことができると感じました。
クリーブランドクリニックはアメリカでも有数の病院との評価を受ける大病院で、まず到着したときにはその規模の大きさに驚かされました。クリニックには、クリーブランド以外のアメリカだけでなく世界中からも患者さんが来られるということで病院キャンパス内にはホテル、宿舎があり、また広いキャンパス内の移動が患者さんの負担にならないようにシャトルバスも定期的に運行されています。また、病院のスタッフの親切さにも感銘を受けました。患者さんへのあいさつや介助など大変行き届いていて、このような医療チームではないスタッフの働きぶりも病院の質の向上に必要な要素なのかもしれません。
3週間の実習内容ですが、毎日の回診とカンファレンス出席、手術・外来見学が主でした。回診は毎朝6時から医学生とインターンの先生がまず患者さんのその日の状態を確認し、その後行われるAttendingの先生による回診に備えます。アメリカではみんな小さい頃からプレゼンテーションの訓練を受けているため、相手に伝えるべき情報をコンパクトにまとめる能力に長けているそうです。アメリカと日本の医療には多くの違いがあると言われますが、回診風景もその多くある違いの一つでした。日本ではほとんどの病院で医師のみで回診を行っていますが、アメリカでは医師だけではなくその他のスタッフも交えて回診を行っています。医師のサポート役となるPA(Physician Assistant)、薬剤師、患者さんと医師の間の橋渡し的存在のコーディネーターなど、患者さんが入院してから退院するまですべてのスタッフが一つのチームとして治療に臨むということを象徴する風景だと思いました。
また、アメリカでは移植の主流となっている脳死移植の現場にも立ち会う機会がありました。日本では月に全国で5例しかない脳死肝移植が、アメリカではクリーブランドクリニックだけで月に10数例行われているそうです。確かに、脳死移植については民族間の文化、考え方の違いがあり日本ではなかなか普及が進まないことも頷けますが、健康体のドナーの方に大きな傷が残る生体肝移植とドナーの方の善意が余命わずかと言われた患者さんの新たな命として受け継がれていく脳死移植の両方を見た自分としては日本でも脳死移植がもっと普及することを願わずにはいられません。
アメリカの医療をこの目で見てみたいと願って参加させていただいた今回の海外留学でしたが、想像と違わず素晴らしい医療システムを持っており、とても刺激的なものとなりました。また、日本人としてアメリカで多くの海外の医師と共に働いている先輩の姿を見て自分も将来同じ舞台に立ってみたいという意欲も掻き立てられました。3週間と短い期間でしたが、今回の経験が自分の医師としての将来に大きな影響を与えることになることは間違いありません。貴重な機会を与えてくださった前原教授、橋元先生、第二外科の先生方には大変感謝しております。
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