胃癌は文字通り胃にできる癌です。胃癌発生のリスク因子としてヘリコバクターピロリの感染や高食塩摂取、喫煙などがあげられます。2006年の日本における胃癌の死亡数は50,415人で、悪性新生物の中の約15.4%を占めており肺癌に次いで第2位です。死亡率は少しずつ低下してきていますが、胃癌を患う人は多く、人口10万人あたり男性は100人近く、女性は40人近くが胃癌になっています。早期診断で過半数の人は早期の状態でみつかっており、治療で治る率が高くなり、治療成績が向上しています。胃癌の初期症状として体重減少や食欲不振、おなかの不快感などがあげられますが、胃癌検診で早期発見することが重要です。

 日本における胃癌の診断や治療が世界をリードしていることは周知の事実であり、その中でもわが九州大学消化器・総合外科(第2外科)の胃グループは、これまでに3000例を超える豊富な手術症例を誇る伝統と実績のある疾患グループです。胃癌には、生物学的に特性の異なる様々なタイプがありますが、これまでの治療成果をもとに、個々の症例に合わせた最先端の治療を行っております。早期胃癌では定型的手術の他に内視鏡的治療(粘膜切除術)や腹腔鏡を用いた手術を行っています。進行癌では手術を中心に化学療法の併用治療を外来や入院にて行っており、患者さん個人に合わせた治療を心がけております。しかしこのような治療方針は、私たちが勝手に決定するわけではなく、胃癌治療ガイドラインの記載に則って患者様とそのご家族と相談しながら決定します。 胃癌ガイドライン

 最新の胃癌治療ガイドラインでは胃癌の進行度を癌の胃壁深達度、リンパ節転移、遠隔転移(胃から離れた臓器への転移)の程度から、StageIa, Ib, II, IIIa, IIIb, IIIc, IV の7段階に分類しています。術前検査による進行度の診断により、治療方針が決定されます

 胃癌症例の過半数は早期の癌であり、当消化器・総合外科(第2外科)における胃癌の5年生存率は早期胃癌では96.0%、進行胃癌では43.8%です。また、進行度別の生存率はそれぞれstage Ia 98.3%、stage Ib 92.5%、stage II 69.3%、stage IIIa 49.0%、stage IIIb 24.9%、stage IV 8.4%となっています。また、再発は早期癌全体の約7.6%に、進行癌の約46.2%に起こり、肝転移(肝臓への転移)やリンパ節転移腹膜播種(腹腔内の腹膜への転移)の形で認められます。