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当科では、1964年12月に食道癌に対する一例目の手術を行って以来、 現在までに1000例以上の食道切除術を行ってきました。
1980年以降はおおむね年間20例以上の手術を行うようになり、とくに1990年頃は年間40例以上の手術を行いました。90年代後半から2000年前半には、当科で多くの食道外科医が育ち、関連病院でも食道癌の手術を行うようになっため、手術数は若干、減少しました。しかし、最近では、高齢者や放射線治療後などの非常に難しい食道癌患者の手術を積極的に行うようになったため、患者が集まり、再び、現在では年間約40例の食道切除術を行っています。
食道切除術は非常に難度の高い手術で術後合併症の多い手術といわれてきました。
前期(’64-‘80)は合併症は62 %と高率に発生しました。それが、中期(’81-‘93)では38 %に、後期(’94-‘06)では33 %に減少しています。なかでも、最も問題となるのが、肺炎などの肺合併症で、前期では42 %に発生していましたが、中、後期では13, 14 %と減少しました。
手術後の術死(手術後30日以内の死亡)、在院死(退院できずに死亡すること、癌の再発死も含む)ともに、著明に減少してきました。とくに、前期では、術死8.1 %、その他の在院死6.1 %と高頻度でしたが、最近、13年間では371例中、術死は1人も経験していません。この成績は、全国的にもトップ レベルの成績といえます。
過去40年間、1000例の生存曲線です。術後1年、3年、5年生存率はそれぞれ、65, 37, 30 %でした。一方、原病生存率(術後、食道癌が再発せずに生きることができた割合)は、それぞれ71, 44, 37 %でした。
時期別に食道切除後の予後をみると、予後の改善が顕著に認められます。すなわち、5年生存率は前期では、14 %であったのに対し、中期では27 %、後期では46 %でした。
さらに、時期別に原病生存率(再発せずに生きることができた割合)を検討すると、後期では52 %でした。食道癌の再発がほとんど5年以内に発生することを考えると、最近では手術した患者の半数以上の方で食道癌が根治できることを意味しています。
40年間に、九州大学第二外科(消化器・総合外科)で経験してきた食道癌手術1000例の変遷をふりかえると、肺合併症は減少し、最近では術死を経験しなくなりました。一方、予後は確実に改善し、最近では半数以上の症例において根治が可能となっています。これには、麻酔、ICU等における周術期(術前、術後)管理の向上、診断技術の向上による早期発見・正確な進行度診断、より有効な化学・放射線療法の応用、手術の技術向上等のさまざまな要因によるものと考えられます。
私たちは、今後も経験を積み重ね、より質の高い医療を目指していきたいと考えています。
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