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外科医を目指している研修医、あるいは学生諸君へ、私からのメッセージを伝えます。 医療とは、高度に専門化された人為的方法により、疾病を診断し、疾病を治すとともに、心を癒すための方策を施す行為であると言えます。その中で、外科学は患者さんに人為的侵襲を加えることによって診療を行う、いわゆる合法的に人体にメスを入れることにより成り立つ学問です。外科を専門とする医師に社会的な立場が与えられると同時に、大きな責任と義務を伴うことは当然で、 君たち若き諸君が、医学を志そうと思った時の気持ちを是非思いだして下さい。私は毎年、外科学の講義のスタートのとき、学生諸君に、"なぜ医師になろうと思ったか"という問いかけをしています。 臨床は患者さんにはじまり、患者さんで完結します。一人一人の患者さんの疾病の個性と、心をもつ宿主としての個性を詳細かつ客観的に観察し、把握することで、正確な診断を行い、現時点で最も適切と考えられる治療を施行することが求められています。そのためには疾病の成因や治療法についてよく習熟し、理論と根拠に基づいた確実な医療を実践できる医師であることが必要です。また、患者さんと家族の心の痛みに共感し、思いやりと優しさをもった医師となるためには、人生の先輩方と出会い、人の話に耳を傾け、先達の書を読み、心の感性を研き、健全な心と体であることも大切なことです。 今後、医療の向上を目指すためには、臨床の現場での疑問や問題点に関して、基礎研究を通して疾病の分子機序を解明し、臨床での診断・治療へと展開してゆく、問題解決型の研究の推進が是非とも必要と考えます。そして、講座や学部、大学の枠を超えた共同研究、あるいは海外留学などを通して、幅広い知識と科学的な思考力、洞察力、判断力、創造力を身に付け、世界と渡りあえる外科医を目指してほしいと願っています。 当教室は百年の歴史をもち、消化器(食道・胃・大腸、肝・胆・膵、門脈圧亢進症)、肺、乳腺、血管、肝移植と、多岐にわたる専門領域をもった講座です。多くの症例を通して確実な専門知識と技術を習得し、卒後10年目を目標に外科医として一人立ちできるような、教育システム構築のためのワーキンググループを立ち上げています。臨床プロジェクトとして、癌の分子標的治療、閉塞性動脈硬化症の遺伝子治療、消化器・肺の再生医療に力を入れたいと思っています。 君たちは医学部を卒業し、国家試験合格後の2年間の臨床修練期間中、実地医療に携わり、患者さんとともに喜び、そして悲しみ、苦しみ、学生時代には考えてもみなかった様々なことを経験すると思います。その時、医師になった若き諸君の心の支えとなってくれるのは、患者さんの"君への心からの笑顔"であるということを認識することと思います。君たちが、背筋を伸ばし、眉をきりっと上げて、力強く21世紀の新しい医療の扉を開けてくれることを期待しています。そして、われわれの教室は、いつも門戸を開いて君たちを待っています。 外科医を目指す若き諸君と共に、外科医としての喜びと生きがいを実感できるような、外科学教室を創りたいと考えています。
Faith is necessary for victory.
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