大腸疾患について

大腸癌とは

 大腸癌は結腸と直腸にできる癌の総称で、部位により上行結腸癌、横行結腸癌、下行結腸癌、S状結腸癌、直腸癌と呼ばれます。結腸癌と直腸癌は解剖学的位置の違いにより治療方針が多少異なるため分けて考えられることもあります。大腸がんは、日本人に増加傾向が著しいがんです。毎年約6万人が罹患し、21世紀には胃がんを抜くとの予測もあります。大腸がんによる死亡は、男性では肺がん、肝臓がんに次いで3番目、女性では1番目に多くなると推定されています。

がんの罹患数

大腸がんの発生には、環境的因子が大きく影響しています。食事では特に動物性脂肪やタンパク質の過剰な摂取が問題となります。大腸癌にかかりやすい危険因子として、
  1) 大腸ポリープと診断されたことがある、
  2) 家族の中に大腸がんにかかった方がいる、
  3)潰瘍性大腸炎で長期治療している、
などがあります。大腸ファイバースコープを用いた検査では、大腸ポリープはかなりの頻度で見つかります。すべてのポリープががんの前兆とうわけではありません。しかし、ある程度の大きさのポリープが見つかった場合は大腸癌にならないように内視鏡的ポリープ切除などの適切な処置を受ける必要があります。

大腸癌の診断・治療技術の多様化、新薬の出現に伴う治療法の進歩は著しく、臨床データに基づいた治療方針の決定(Evidence based medicine; EBM)が必要です。癌が見つかったら、即手術というわけではありません。

 まず、大腸癌であることが疑われた場合、内視鏡検査、大腸透視検査、CTスキャン検査、場合によってはMRIやPET検査も追加されます。それらを総合的に判断し治療前の病期(ステージ)が決定されます。それから、それぞれの病期に合わせて、内視鏡的治療、腹腔鏡下手術、開腹手術、化学療法、放射線治療などが選択されます。

 大腸癌はその他の消化管癌(食道癌や胃癌)と比較すると、比較的治療しやすい癌です。肝臓に転移がある場合でも根治的な手術が可能な場合がありますし、前立腺や膀胱など他臓器に浸潤した直腸癌でも手術が可能な場合があります。また、最近になり認可された抗癌剤により、化学療法による治療成績も格段に向上しています。当科では、大腸癌の進行度に合わせた治療、腹腔鏡手術、高度進行癌に対する手術や抗癌剤治療も積極的に行なっています。