肝胆膵研究グループ
我々肝胆膵研究グループは、肝胆膵悪性腫瘍の分子生物学的解析と新しい治療法の開発をテーマに研究を行っています。肝細胞癌の門脈進展や肝内転移メカニズムに関与する遺伝子/蛋白群の解析から、炎症性メディエーターであるPAF受容体、脂質メディエーターであるDGK(diacylglycerol kinase)、更に細胞運動に重要な役割を果しているとされるFAK (focal adhesion kinase)が関与している事を解明し(Ito S et al. Clin Cancer Res. 2004; 10: 2812-7)、治療への応用を模索しています。また、世界で初めてヒト肝内胆管癌株の腹膜播種株を樹立し、cDNAマイクロアレイなどの解析から炎症性メディエーターであるIL-1ベータが腹膜播種に強く関与している事を解明しました。新規治療法の開発に関する大きな柱は、ハイブリッド型人工肝臓の開発などの再生医療と遺伝子治療です。ハイブリッド型人工肝臓の開発では、九州大学工学部との共同研究により、ブタ肝細胞を使用した臨床応用プロトタイプまで完成しました(Yamashita Y et al. Cell Transplant. 2003; 12: 101-7)。その臨床応用の最大の障害になっているブタウイルス感染症対策として、ヒト高性能肝細胞株の樹立に成功しました(Harimoto N et al. J Hepatol. 2005; 42: 557-64)。我々は将来、ハイブリッド型人工肝臓は肝移植を凌ぐ肝不全治療になり得ると考えています。また、現在治療法のない肝硬変合併進行肝細胞癌に対する新規治療法として、IL-12遺伝子治療の開発を進めています。遺伝子治療ベクターとしては、ウイルスを用いない物理的遺伝子導入法であるelectrosonoporation法を世界で初めて開発し(Yamashita Y et al. Hum Gene Ther. 2002; 13: 2079-84)、マウス同所性肝細胞癌に対するIL-12遺伝子治療に成功しました(Yamashita Y et al. Mol Cancer Ther. 2004; 3: 1177-82)。
また、肝細胞癌生体肝移植後再発治療モデルとしての免疫抑制マウスにおいてもIL-12遺伝子治療は有効でした(Harada N et al. J Immunol. 2004; 173: 6635-44)。遺伝子治療はその臨床応用まであと一歩です。
また、electrosonoporation法による遺伝子治療が胆管癌胆管内治療に応用できないかを動物モデルで検討しています。

1. ヒト肝細胞株HepG2へ自殺遺伝子(HSV/tk)を導入し安全性の高いHepG2/tk株を樹立する。

2. 樹立した株を薬剤を用いて機能向上をはかる。

3. 90%肝切除したラット肝不全モデルに機能を向上させた細胞株を脾注し救命をはかる。

遺伝子治療
IL-12/Electrosonoporationを基盤とした治療

マウス大腿筋へのIL-12遺伝子導入
マウス血中IL-12の上昇
グラフ
IL-12治療群の肝癌/対照群の肝癌

 ※九州大学臨床研究倫理審査委員会の承認を受けた研究について


調 憲


調  憲
患者さん1例1例を大切にして、臨床からえたヒントをもとに研究を展開し、最終的には肝癌の治療成績の向上に役立てることを目標に研究を行っています。
武冨 紹信


武冨 紹信
大学院ではDNA修復酵素、米国ハンツマン癌研究所では脂質代謝酵素について研究してきました。肝癌集積地である福岡県から世界に向けて肝癌の研究成果を発信し、治療に役立てることを目標に研究を行っています。
吉住 朋晴


吉住 朋晴
生体肝移植において、移植する肝臓はドナーの肝臓の一部ですので、肝臓の大きさが通常より小さくなります。この状態では時に過小グラフト症候群と呼ばれる重篤な合併症を発症します。この機序解明と、脾臓摘出を中心とした手技などにより、過小グラフト症候群を如何に予防及び治療していくかを研究のテーマとしています。
内山 秀昭


内山 秀昭
臨床肝移植において、現在最も問題となっていることは、移植後の C型肝炎および肝癌の再発です。 これらの再発を制御することが可能となれば移植成績は飛躍的に向上すると期待されます。 ウイルスの種類、癌の分化度により多様な再発形式をとることが知られていますが、多くのことはまだ未解明です。 これまでの臨床統計を用い、また分子生物学的手法を駆使し、移植後のC型肝炎および肝癌の再発制御を目指していきたいと考えています。
原田 昇


原田 昇
癌免疫治療、 分子治療、また肝移植における免疫寛容、肝移植後のC型肝炎の線維化の評価や癌再発治療について研究しています。日々の治療を通して少しでも進歩することが出来る様に努力して参ります。
伊地知 秀樹


伊地知 秀樹
生体肝移植術後の回復に関与する因子として、グラフト肝再生、肝虚血再還流障害、免疫抑制剤使用等様々な問題があります。それらの問題を臨床的さらに基礎的に研究し、治療成績向上に貢献できることを目指していきます。
武石 一樹


武石 一樹
肝臓移植グループの武石です。肝切除後の肝再生および肝癌の発癌メカニズムについて研究を行っております。自分の研究が少しでも臨床の場に還元できればと思い、日々精進しております。宜しくお願いします。
戸島 剛男


戸島 剛男
肝臓移植グループの戸島です。肝臓移植術後の腫瘍免疫の検討としてIL-12 併用SeV活性化樹状細胞療法、 そして肝再生および肝障害におけるオートファジー関与の研究を行っています。今後の研究が、将来的に臨床に少しでも生かせ るよう、精一杯がんばっていこうと思います。よろしくお願い申し上げます。
吉松 正憲


吉松 正憲
現在、 教室を離れて東京大学医科学研究所に所属し、癌に対する分子標的治療の開発を目標とした研究を行っております。研究の成果が、少しでも臨床に生かせるよう 精一杯努力していきますので、どうぞよろしくお願いします。
間野 洋平


間野 洋平
肝細胞癌・肝内胆管癌の発癌のメカニズムについて研究を行っています。
今後の臨床に役立てるよう努力してまいります。
本村 貴志


本村 貴志
C型肝炎ウイルス感染からの肝脂肪化やインスリン抵抗性、また発癌までのメカニズムを解明し、一方でC型肝炎ウイルス蛋白の接合点ペプチドの安定性を明らかにして、そこをターゲットにしたワクチン等新しい治療の開発に邁進します。
的野 る美


的野 る美
大学院2年目の的野です。今年から肝臓・移植グループで勉強させていただきます。肝疾患を分子細胞生化学の分野から研究し、 日々の診療に役立てたいと考えます。癌だけでなく、その前段階脂肪肝、肝炎の状態把握に努めます。
武藤 純

武藤 純
本年度より肝臓移植グループの一員となりました武藤です。肝細胞癌における血管新生の研究と、移植後再発肝細胞癌に対する化学療法に関する研究を行っています。臨床につながる研究を目指して努力していきます。よろしくお願いします。


池上 徹 (特任助教)
生体肝移植後は、拒絶反応の抑制と感染防御の維持という背反する2つの状況を同時に実現することが必要であり、至適な免疫抑制は、移植を成功させるためのキーワードと言えます。感染防御の維持、急性および慢性拒絶反応の制御、不適合移植に於ける液性拒絶反応の制御、に関する基礎的・臨床的研究を行っています。



杉町 圭史 (特任助教)
現在、消化器がん(肝胆膵・胃・大腸)の外科治療を臨床の最前線で行っています。肝臓がんの発がんや再発を防ぐ新たな治療法に将来つながることを目標として、肝がんの分子病理学的研究を行っています。


二宮 瑞樹 (特任助教)
生体肝移植ではドナー(提供者)の約半分の肝臓を移植するため、グラフト容積は理想肝重量よりも小さくなり、Small-for-size graft(過小グラフト)症候群という病態を発症させ移植後の回復を遅らせることがあります。移植成績の向上・ドナー安全性確保のため、この問題の解決を目指していきます。


萱島 寛人 (特任助教)
肝胆膵外科を中心に臨床・研究に励んでいます。肝細胞癌に体する生体肝移植後の再発予防を目的とした遺伝子治療、免疫治療の研究を行っています。また、生体肝移植後のドナー残肝の肝再生や血行の変化について3D画像を基に分析を行っています。治療に還元できる様に頑張ってゆく所存です。




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